闇の中

「プロラクチンが高いですね」と言われたのは、公私ともにどん底であった30代半ば。やっとつかんだ常勤職は業務もハードであったが、人間関係がギスギスしており、スーパーパワハラ上司が存在。私が単身赴任をすることで、心身の負担はさらに強まった。どんなに苦しい思いで帰ってきても、お弁当を作ってあげても、夫の表情はしだいに硬くなっていった。私は彼が不在の間の舅の介護も、仕事の苦しみも聞いてあげて、支えてきたつもりだったけれど、同時にままならぬ自分の人生ゆえに彼を責め続けたように思う。それは確かに悪いことであった。生理もとまり、ルボックス漢方薬で苦しい治療にいる最中、「僕は自由になりたい」「新しい人生を歩みたい」「そんな風に喉に刀を突きつけるように、病気で迫るな」と言い続ける元夫は鬼のようでしかなかった。愛情がなくなるということは、こんなにも残酷なことかと悟った。

今、彼は新しい配偶者を得て、小学生の子供もおり、業績をあげ、幸せの最中にいるらしい。私の埋められなかったところ、至らなかったところ、私が傷つけてしまった心を癒す人が現れたことに感謝するとともに、どうか幸せであってほしいと願う。しかし、私はこの深い傷に長年、苦しむことになった。