光からまた闇へー母の介護の始まりー

3年ぶりに戻ってきた地は、本当に心地よく、うれしく、またやりがいのある場所だった。もちろん多少の不満はあったが、それはどこの職場でもあることだろう。しかし仕事は予想以上にハードで、1年目に喉の疾患で入院し、2年目に自律神経失調症にさいなまれることになった。しかし、偶然、職場の近くの鍼灸に出会い、1月に1回、通ったところ、ほとんど症状が出ずにおさまっていった。私はようやく光に包まれつつあったが、2011年3月11日、ここで闇に転落する。

この災害が多くの人々に言い尽くせぬ苦しみを与えたことは言うまでもない。私はこの災害が遠くに住んでいた母の認知症に気づくきっかけとなった。大地震であるにもかかわらず、母から連絡がない。そして母は私が一緒に住もうと呼んでくれた、と繰り返しはじめたのだった。